今シーズンに入ってからECMがおかしい。。どうも走っている最中にTPS(Throttle Position Sensor)が勝手にズレている感じがある。
TPSだけでなく、急にアイドリングが上がってしまったりもある。そして「バッチリの調整ができた」と思った次の日、始動するとまったく違った様子になっていることが何度か続いた。だいたい極端に薄くなった感じで「息継ぎ」症状が激しくなる。アイドリングが急に高くなることも。その都度道端に停車してはTPSリセットをして、、とかいった対策をしていたけど、どうやらTPSだけではない感じがある。
落ち着いてECMを調べてみることにした。ただ電子的にはよく判らないし、普段ECMSPYで設定を書き換えたりしている分には特におかしい、と思ったこともなかったので、もっと物理的なところから調べてみる。
どこがおかしいの?
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(2023/5/13)
まず、XB-12Ss(’09)のECMはここにある。
ECMSPYの「Live & Log Data」を見ながら、ECM本体やコネクタをぐりぐりしてみたら、、、
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なんと
- Load(8-Bit)
- Engine Temp
- Air Temperature
辺りがコロコロ値が変わる。どれも燃料の吐出量に大きく影響するセンサー値ばかり。
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それじゃ普通にライディング中の荷重でシートが“たわむ”と、
間接的にこのコネクタを押してしまって、、、
結果、センサーの値が勝手に変わってしまう、
ということを繰り返していたのね。そりゃ安定しない訳だ。
ECMをBuellから取り外して外観を見てみる。特にコネクタにヒビが入ったりは、、、
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コネクタ自身には見当たらなかったけど、コネクタの周りになんだかヒビが入っているな。でもこれはあまり関係ないか。。。
※後にこのコネクタが外からグリグリ押されて、こんなヒビが入ってしまった、ということを知った。。このヒビだらけの中古ECMを見たことがある!
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どうやって治す?
さてここで、ECMを新しいものに交換すれば解決するのだろうけど、今や中古もそんなに出回らない。もともとECMなんて出回らないか、、 ネットで同じような問題を解決した人がいないか探してみると。。
いらっしゃいました。その1。日本の人。2016年の記事。
「Buell XB 故障原因 その8 ECMの手術」
http://donalspapa.blog34.fc2.com/blog-entry-493.html
いらっしゃいました。その2。アメリカのフォーラム。。実際にハンダ付けし直してうまくいった例。2012の記事だけどまさにこれ。
「Buell Ulysses XB12X & XB12XT Forum > through April 13, 2012」
http://www.badweatherbikers.com/buell/messages/142838/726411.html?1334338510
上と同じフォーフラムでのハンダ付け部分の写真付き。ハンダが割れているのが確認できます。
「Buell Ulysses XB12X & XB12XT Forum > 06 stumble, cutout, and CEL」
http://www.badweatherbikers.com/buell/messages/142838/809483.html?1500137318
このハンダのやり直し、2番目のリンク最初の2012年の発言者「Blitzer454」氏はよくこのハンダの割れに気付いたものだと感心する。この方法、上のアメリカの掲示板ではだいぶ前から、Buellの「シャックリ解消手段」として浸透している。アースの再点検と、ハーネス内のケーブルの断線点検も同じように何度も「要点検」が叫ばれている。
GW明けの土日で時間もあるので、試しにやってみることにした。とは言えECMのケースをホットナイフで開けて、コネクタの各端子が基盤に刺さっているピンのハンダ付けをやり直す、という中々の内容。失敗したら結局のところ「代替ECMを手配しなけりゃ」の案件だ。
実際に加工してみる
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(2023/5/14)
まずホットナイフを持ってないので、手持ちのハンダごてを改造することにした。改造といってもコテ先を削るだけ。こんな感じに作ってみました。
この後ハンダ付けもするので、替えのコテ先も用意しておいた。
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ホットナイフはプラスチックが溶けて焦げて、頭がクラクラする匂いがキツイ。天気もまあまあなので外でやる。ジュブジュブ、、ECMのケースを溶かして行く。
庭に杉苔が出てているのを発見。なんともつつましい感じがいいね。
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さてさて、もう後戻りはできない感じになってきた。
充塡剤を「つまようじ」でちょいちょい取ると、下から緑の基盤が出てきた!
全部出したら、半信半疑でピンのハンダ付けを全部やり直してみる。試しにグレーのコネクタだけ。
ここで大事なのはハンダ。昔ながらの鉛が入っていて柔らかい「60/40」とかを使う。錫60%,鉛40%の共晶ハンダだ。まだホームセンターに売っている!
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グレーのコネクタのハンダ付けが全部終わったらBuellに繋いでテスト。グレーのコネクタをぐりぐりしても、センサの値が勝手に変わらなくなった! よし、黒も続けてやりましょう。
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さて、グレー側も黒側もうまくいったっぽいので、開けたところに充塡剤を入れてやった。キレイに平らになるように塩ビ(あとで剥がせる)の下敷きを貼り付けておいた。
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結局、元のメーカでのハンダ付けが甘かった? 見た目ではちゃんとキレイにハンダが盛れていたけど、スルーホール全体に行き渡っていなかったって感じだ。ハンダ吸収線で古いハンダを吸ってやったらスルーホールにしっかりハンダが流れてなかった。。
とはいえどうやらハンダは近年の産業界の流れで固い「鉛フリー」のを使わざるをえないとのこと。ただこれだとちゃんと溶けてスルーホールに行き届かないことはあるらしい(溶ける温度が高いから、っていうのもある)。しかも硬いために何年も経つと割れたりするらしい。これはBuellだけの問題ではないらしい。今回ハンダ付けの温度やハンダの成分について改めて知ることがいくつかあった。
充塡剤はグリップの接着に使った「コニシボンドの「ウルトラ多用途SU」」の黒いヤツ。最近この接着剤はいろいろなところで重宝している。硬化するタイプで、硬化後もあまり痩せないので充塡剤としても使える。ただ空気中の水分などと反応するらしく、それ自体が化学反応で固まる(エポキシみたいに)のではないので、大量に使うと固まるまで時間がかかる。
今回も3回に分けて充塡してみた。
加工したECMを実装する
外装を剥いでしまったところをキレイに充塡はできたものの、剥いだところはコネクタの根元を支えていた部分だ。充塡剤だけでは強度が心配。今度外から力が加わったら、基盤がバキッと割れてしまいそう。。
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(2023/5/20)
そこでコネクタを支える補強板を作って貼り付けることにした。
3mm厚のアルミ板をコネクタの背面を支えるような形で切り出して、また充塡剤として使った接着剤で貼り付けてやった。
大切なのはコネクタを曲げるような力が加わらないようにすること。コネクタの補強だ。
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両面に貼り付けて、こんな感じになった。なんとも頑丈になった。サイボーグ化されたみたい。
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コネクタの支えをさらに強固にするため、コネクタとアルミ板をロックタイで縛りつけてやった。
次に壊れるのはオス側のコネクタか、ハーネスだな。
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サイボーグ化されたECMを元あった場所に取り付け。補強板が光る!
念のためこの状態でコネクタをぐりぐりしても大丈夫だった。
そうそうコネクタを挿す時、オレンジ色した防水のゴムパッキンがちゃんとしていることを確認した方がいいようだ。クシャッとしたまま差し込むと、後でトラブルに発展することもあるらしい。
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ひと安心してテスト走行に行くと、これまたすばらしい安定具合。新車のころはこうだったのね。
XB-12Ssもなんだか満足して誇らしげな顔。よかった、よかった。
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全部終わってウチに入ると、キレイな花がかざってあった。春だね。
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TPSを新品に交換(後日)
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(2023/7/08)
amazonで難なくTPS(Throttle Position Sensor)の新品が手に入ったので交換しておいた。TPS交換しても特に変化なし。ただ気になっていたアース関連も確認したり、ちょっと強化したりができてさらに安定。
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ついでに、これ以上シートがECMのコネクタを攻撃しないよう、周りを囲うような「コネクターガード」を作ってやった。ホームセンターにある「カラーアングル」が材料(バーコードを剥がすの忘れた)。
ここで、このガードがコネクタを攻撃してしまう、なんてことがないよう、バッテリーも元通り納まるよう、そしてシートがちゃんとはまり込むようなサイズに調整してやった。
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裏から見るとこんな感じ。ケーブルの束はもう少しコネクタに近い所までテープを巻いてやった。
これでどんなに上から体重が襲ってきても、ここがつぶれてしまうことはないでしょう。
ちなみに「カラーアングル」のサイズは、、
L字の幅:20mm,厚さ:2mm,穴の間隔:25mm
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テープと言えば、、
先日友人から紹介された「自己融着性絶縁テープ」を使ってみた。
これ、普通の絶縁テープと違って、後からベタベタしてこない。余計な所に張り付いちゃったりもしないので便利だ。防水にもなるようなので、バイクにはうってつけだ。
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end…